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へっぽこデザイナーが書く備忘録ブログ

ブックデザイン・製本が一冊にまとまった雑誌「デザインのひきだし 23」

      2014/12/12

「デザインのひきだし 23 紙を綴じる=製本をもっと知る!」の紹介です。

あんまり書くつもりはなかったのですが、半年前に載せたブックデザイン熱いの記事がよく読まれていて、興味のある方が多いようなので書きたいと思います。

【追記】12/10 公開後に大幅に加筆しました。

デザインのひきだしについて

「デザインのひきだし」は

プロなら知っておきたいデザイン・印刷・紙・加工の実践情報誌『デザインのひきだし』

-デザインのひきだし・制作日記

と編集者さんのブログにあるように、プロのデザイナー向けの雑誌です。

値段もプロ仕様で、以前紹介したPenの約3倍という高い値段になっています。

もちろん内容は価値のあるコンテンツが凝縮されており、ブックデザイン/印刷に興味のある方は買って損はない一冊ではないかと思います。

装丁

「デザインのひきだし」の大きな魅力の1つは装丁の凝り具合です。

アマゾン等のサイトで見ると装丁のすごさがイマイチ伝わってこないのですが、ディレクションをしているデザイン会社ASYLのサイトでは、めくっている様子も入っていて、装丁のすごさがわかりやすいです。

特に伝票を表紙にした号取り扱い注意のラベルが表紙でめくれる号がとても興味深い装丁になっています。

hikidashi_20

デザインのひきだし20 (ASYLより)

そして、今号の装丁がこちら。
DSC_0100

文字に影がついてますが、これは平面上のデザインではなく、ペットボトルの素材でできた表紙にクセがついてしまって表紙が浮いているだけです。DSC_0102

表紙をめくると文字は表紙に、枠は裏の赤い紙に印刷されていることがわかります。

写真はないのですが、赤・白・黒になっているところは全て別々の紙になっており、紙見本になっています。(紙種はNTラシャの新色)

DSC_0104

そして、この背表紙。透けて、折丁が見えるようになっています。ちなみに、緑とオレンジのところも紙見本になっているのですが、その他の本文用紙も紙見本になるように種類にこだわって使っているそうです。

内容

今号の内容は進研ゼミの「チャレンジ」を印刷している工場から、新潮社装丁室などのデザイン室へのインタビュー記事、いろいろな製本と題して特徴ある製本のまとめ記事、製本がすごい本の特集記事・ブックデザイナー祖父江慎による「いいかげん製本」へのレポート記事など、印刷・製本の最先端を集めた一冊になっています。

その紹介されていた製本の中でも特に印象的だった本をご紹介します。

「きのこ文学名作選」

「ビッグの終焉」

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きのこ文学名作選

きのこ文学名作選は

この本は、写真評論家で、きのこ文学評論家でもある飯沢耕太郎さんが、古今東西の日本文学作品から「きのこ」が印象的に登場する16作品を撰びまとめた、読書界初「きのこ文学」傑作アンソロジーです。-TOKYO TDCより

で"きのこ"を題材にした話を集めた本です。

装丁はこちら。

きのこ文学名作選 — 祖父江 慎 + 吉岡秀典(TOKYO TDC)

ぜひTOKYO TDCのサイトで確認して欲しいのですが、カバーにはいくつもの穴が開けており、表紙には箔押しととてもゴージャスな一冊になっています。中身も、一般的な本とは違う斬新なレイアウトがされているので、大変興味深い一冊になっています。

なぜこういう装丁をしたのか、先ほどの本の概要に続いてmこう書かれています。

...そんな魅力的なきのこたちからインスピレーションをうけた作品はどれも個性的で、それぞれから菌糸の根が広がり、紙もテキストもきのこ化してしまったような本を目指しました。...-TOKYO TDCより

中身だけではなく、装丁も"きのこ"。ここまでこだわられた一冊はなかなか珍しいと思います。

ビッグの終焉

ビッグの終焉は

市民がソーシャルメディアを使って政府を倒す。オンラインで資金を調達する草の根勢力が政府の権力を揺るがす。オンライン講義が普及して、大学は学生の確保に苦しむ。市民ジャーナリストやブロガーの出現で既存のニュース媒体は劣勢に立たされる。伝統的機関に革命の波が押し寄せている。新しいテクノロジーは両刃の剣だ。社会を良くすることもあれば、意図せざる結果を生むこともある...- アマゾン

という内容の本です。元は英語で書かれた本で、それの和訳のようです。

そんな難しそうな本の装丁はこちら。

big_end

ビッグの終焉 Amazon

斜めに敷き詰められた文字と、真ん中に見える英語が昔のアメリカの新聞を彷彿とさせます。

それで、この装丁のどこがすごいのかというと、この上と下の斜めになっている部分。

実はこれ印刷表現ではないそうです。

なんと幅広に作ったカバーを斜めに折って、本体にカバーを手巻きして作り出している表現なのです。

文字のレイアウトが斬新なので、デザインの参考になりますね。

ちなみに紹介した本には全てブックデザイナー祖父江慎(そぶえ しん)が携わっています。

非常に有名なブックデザイナーの1人なので装丁が好きな人は覚えておくと良いかもしれません。

祖父江さんのTwitterではデザイン学生へ宛てたつぶやきが見れるので、デザインを勉強しているという方はフォローすると良いと思います。

(こちらのまとめにはこれまでのアドバイスつぶやきが見れます→祖父江慎さんから【デザイン学生さんへ】ほか)

さて、今回紹介した「デザインのひきだし 23」には他にもまだまだ、写真集・マンガ・小説などジャンルを問わず、すごい製本が取り上げられてました。

詳しい内容は買って読むか、編集者さんのブログに簡単に内容が取り上げられていましたので、どうぞご覧ください。

『デザインのひきだし23』製本特集、発売です!-デザインのひきだし・制作日記

以上、「デザインのひきだし 23 紙を綴じる=製本をもっと知る!」の紹介でした。

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せっかくブックデザインの記事を書いたので、1年ほど前にBehanceで見つけたブックデザイナーを紹介します。

王志弘(Wang Zhi-Hong)という台湾のグラフィックデザイナーです。

wang

Rye Field Publishing Year: 2014(http://wangzhihongcom.tumblr.com/)

主に日本語の中国語訳の本の装丁を手がけておられるのですが、そのデザインが元の本のデザインよりカッコイイので、見ていて面白いです。

彼のTumblrにこれまでの作品がたくさん載っていますので、興味のある方はどうぞご覧ください。

http://wangzhihongcom.tumblr.com/

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